宇宙論的証明

宇宙論的証明は、存在の原因の序列を辿ることによって神が存在することを立証する試みです。すべての事物や出来事には必ず原因があり、結果があります。宇宙には、運動している物体があるのは明らかで、物体が運動するには、その原因がなければなりません。つまり、原因となった出来事が存在して初めてこの宇宙での物体の運動という出来事が説明されます。そこで、原因となった出来事を考えると、その出来事にもまた原因があり、こうした出来事の原因の序列は、より根本的な原因へとさかのぼることになります。しかし、この過程は「無限」ではないはずで、宇宙に「始まり」があったのであれば、原因が無限にさかのぼることはなくなります。したがって、一切の運動には、原初の根源原因があるはずであり、出来事の因果は、この根源原因よりも先にさかのぼることはありません。つまり、宇宙に運動があり、出来事があるということは、その根源原因である「神の存在」を証明するものだということです。

この証明に対し、出来事の原因と結果は必ずしも一対一ではないという考えがあります。原因は一つとは限らないし、結果も一つとは限りません。しかし、原因が仮に多数あったとしても、それらの多数の原因となる出来事の原因を尋ねていけば、やはり、根源宇宙の原初の原因にたどり着かざるを得ません。この原初の原因が神であるとします。

あるいは、神の世界創造を否定し、宇宙の時間は無限にあるという議論も可能かも知れません。原因は無限にさかのぼり、根源の原因にはたどり着かないという可能性です。しかし、我々の世界はそもそも「有限の世界」であり、宇宙が無限だというのなら、そのような宇宙は、この世界に対し超越的であり、超自然です。もし無限の宇宙があるなら、それこそ神の存在の明らかな証明になる、というような論証を「神の宇宙論的証明」と言います。

トマス・アクィナスは、「すべてのものには原因がある。その原因をたどっていくと、いつかは第一の原因、もはや他のものに依存しない原因、つまり必然的存在があるに違いない。それが神にほかならない」と論じています。


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