突然現れた化石

まず化石というのは、過去の生物の遺骸や生命・生命活動・生活の痕跡が残されているものを言い、それが石化しているか否かは関係ありません。

 

すべての生物物質、軟組織、また骨や歯や貝殻などの硬組織も、地表にさらされると急速に分解します。空気中や地下水の中の酸素や酸などによる化学分解、またバクテリアなどによる生物的分解に対し、生物組織は非常に弱いので化石にならずに分解してしまいます。組織の種類によって化石化する可能性は異なりますが、硬組織のものは化石化する可能性は大です。

 

化石が出来るためには、遺骸や生命活動の痕跡がそのまま保存される必要があります。野原や山や、水の中で死んだ昆虫や野の動物、あるいは魚でも、その死骸や痕跡は、その場に放置されると酸素や微生物、あるいは化学物質によって破壊されて消滅してしまいます。

 

例えば、魚が化石になることはあり得ません。なぜなら魚が死んで放置されると、他の魚やバクテリアなどに食べられたり分解したりしてバラバラになり、土に帰ります。ですから、化石になることはありません。

 

しかし、泳いでいる魚が洪水などの土砂、あるいは噴火による火山灰などの堆積物が突如として襲いかかり、急激に生き埋めにされると、空気、魚の死体を腐食するバクテリアなどから完全に遮断されます。特に、堆積物が膨大な量で圧力や熱も加われば、さらに化石生成に好適な条件になります。

 

地層および化石が、ノアの時代の大洪水によって形成されたという考えは、進化論では説明できなかった数多くの事実をも適切に説明します。たとえば進化論者は、時代をさまざまな「地質時代」に分け、それぞれを色んな名前で呼んでいますが、それらの一区分として「カンブリア紀」というのがあり、それ以前の時代は「先カンブリア時代」と呼ばれています。そして進化論者は、「カンブリア紀」の地層には様々の化石が見出されるのに、そのすぐ下の「先カンブリア時代」の地層になると全く化石が見出されなくなる、という事実に困惑しています。

 

スタンフィールズ著『進化の科学』には、次のように記されています。

「カンブリア紀に、今日知られている動物の主要なグループのほとんどすべての代表が、突然出現している。まるで巨大なカーテンが引き上げられて、そこには実に変化に富む生命の群がった世界が、姿を現わしたかのようであった。・・・・・・この問題は(進化論にとって)今もなお問題である。」

 

先カンブリア時代の地層には化石が見いだされないのに、カンブリア紀の地層になると急に多種多様の化石が見いだされるという事実は、進化論の立場から見ると理解しにくいことであり、「この問題は今もなお問題」なのです。

けれども、大洪水によって化石を含む地層が形成されたとする創造論の立場からすると、このことも容易に理解されます。つまり、大洪水以前の地層(進化論者が「先カンブリア時代」の地層と呼んでいるもの)の上に、大洪水による地層が堆積していったので、そこには急に多くの化石が見られるのです。

また先カンブリア時代の地層と、カンブリア紀の地層の境界面が「不整合」になっているという事実も、非常に重要です。地層が同じような状態で連続堆積しているとき、それらの地層は「整合」であるといい、そうでない場合を「不整合」と言います。実は、先カンブリア時代の地層とその上にある堆積層とは、全世界にわたって「不整合」なのです。

先カンブリア時代よりも上の地層は、みな水平に横たわっているのに、その下の先カンブリア時代の地層だけは、全世界にわたって山あり谷ありの状態になっています。井尻正二、湊正雄共著『地球の歴史』には、こう記されています。

「世界各地のカンブリア紀層をみると、カンブリア紀層は、はげしく変質したり、あるいは褶曲したりしている原生代層(つまり先カンブリア時代の層)の上に、ほとんど水平に横たわっていることが観察される。・・・・・カンブリア紀層と、それ以前の地層との関係は、世界中どこへいっても、両者は不整合であって、いまだかつて整合関係のところは知られていない。この事実は、いったい何を意味するのであろうか。」

 

そう述べて、この「不整合」の事実に対する率直な疑問が提出されています。進化論の立場からは、この事実は決して説明できないからです。しかしこの事実は、ノアの大洪水を認める創造論の立場からすれば、全く当然のこととして理解できるのです。

「不整合」というのは、その下の層と上の層とは連続的にできたものではなく、時間的なギャップがあったことを示しているのです。進化論者が「先カンブリア時代」と呼んでいる地層は、じつはノアの大洪水以前の地層なのです。つまり、地球誕生時からすでにあった地層です。その上に、ノアの時代になって、大洪水による地層が新たに堆積したのです。

進化論者は、これを誤って「カンブリア紀」とか、それ以降のものと呼んでいるわけですが、それは大洪水によってできた地層なのです。これらの上の地層は水の作用によるものなので、水平に堆積しました。はじめに、大洪水以前の褶曲する地層が存在し、その後その上に、地をおおった全世界的大洪水によって水平な堆積層が形成されたのです。従って、不整合の界面の上の地層には急に様々の化石が見いだされるのに、その下の地層には化石がないという事実も、これによってよく理解できます。

ノアの大洪水によって上の水平な堆積層が形成されたのだとすれば、カンブリア紀の「化石の急な出現」も、その下の「地層の全世界的不整合」の事実も、全く当然のこととして理解できるわけです。

 

大洪水や大噴火などの天変地異は、人や生物にとっては生死に関わる恐ろしい災害ですが、そういうときに化石が生成することが多いのです。歴史的に有名な例は、イタリアのポンペイで西暦79年に起こったヴェスヴィオ火山の噴火で、火山灰が降り注ぎ、翌日噴火末期に火砕流が発生し、ポンペイ市は一瞬にして完全に地中に埋まって壊滅してしまいました。

 

逃げ遅れた人や犬などが火山灰に埋められ、その後、火山灰が固まり、その中の死骸の跡が空洞としてきれいに残っていました。考古学者たちはここに石膏を流し込み、逃げまどうポンペイ市民が死んだときの形を再現しました。顔までは再現できなかったようですが、恐怖の表情がはっきり分かるものもあり、また、母親が子供を覆い隠し、襲い来る火砕流から子供だけでも守ろうとした様子も、飼われていた犬がもだえ苦しむ様子も生々しく再現されています。

 

一瞬にして5 メートルの深さに町全体を飲み込んだ火砕流が、当時の人々の生活をそのままの状態で保存しました。地中から次々と現れるローマ時代の遺品の美しさに世界は驚愕しましたが、その美しさの秘密は実は火砕流堆積物にありました。火山灰を主体とする火砕流堆積物には乾燥剤として用いられるシリカゲルに似た成分が含まれ、湿気を吸収しました。この火山灰が町全体を隙間なく埋め尽くしたため、壁画や美術品の劣化が最小限に食い止められたのでした。

 

十八世紀中旬から始められた発掘作業は今も続けられており、遺跡はユネスコの世界遺産に登録されています。

 


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